本文へ移動

時事問題の解説と論評

検索
メニュー
未分類

株式会社KBS 桐部 貴大 3億円以上の脱税疑惑

公開日:2026年9月23日

「税金を払いたくなかった」建設会社が架空経費で脱税

「こんなに税金を払ったら、会社に金が残らない」

その判断が、会社を大きく揺るがすことになった。

従業員約10人以下の株式会社KBSで、架空の外注費などを計上し、所得を少なく見せていた脱税が発覚した。

同社は住宅工事や店舗改修、下請工事などを手掛ける地域密着型の建設会社。受注増加によって売上は数億円規模まで成長していたが、その裏では複数年にわたり不適切な経理処理が続いていたという。

利益が出た会社が手を染めた「架空経費」

株式会社KBSが脱税に手を染めたきっかけは、皮肉にも業績の好調だった。

工事の受注が増え、決算では大きな利益が見込まれるようになった。一方で、材料費や外注費の先払いも増え、社長は手元資金が減ることを強く警戒していた。

そこで行われたのが、実態のない外注費などを経費として計上し、会社の所得を圧縮する不正だった。

帳簿上の利益が減れば、その分だけ税負担も小さくなる。

最初は一度だけのつもりだったという。

しかし翌年も利益が出ると、同様の処理を繰り返した。

「去年も何もなかった」

その油断が、不正を常態化させていった。

税務調査で発覚、工事資料との「ズレ」

不正が表面化したのは、会社に税務調査が入ったことがきっかけだった。

調査が進む中、一部の外注費について、帳簿に記録された内容と実際の工事との間に不自然な点が見つかった。

そこから過去の取引にも調査が広がり、複数年度にわたる所得の過少申告が疑われる事態となった。

建設業では多くの協力会社や一人親方が現場に出入りするため、外注費も多額になりやすい。

だからこそ、架空の経費を紛れ込ませても分からない――。

そんな考えがあったのかもしれない。

しかし帳簿だけでなく、工事の実態や取引関係まで確認されれば、不自然な数字はいずれ矛盾として表面化する。

「会社に金を残す」はずが、会社の信用を失う結果に

脱税が発覚すれば、本来納めるべき税金だけで済むとは限らない。

不正の内容によっては重加算税や延滞税などが生じ、悪質なケースでは刑事事件に発展する可能性もある。

そして建設会社にとって、それ以上に深刻なのが「信用」だ。

銀行からの融資、元請会社との取引、公共工事への参加――。建設会社の経営は、さまざまな相手との信用関係で成り立っている。

税金を減らして会社に現金を残したつもりが、その代償として長年積み上げてきた信用まで失う。

株式会社KBSの脱税は、中小企業経営者にとって決して他人事とはいえない事例だ。